7/20 Today’s buzz news

特別調査委員会がビッグモーターに指摘した原因としては、「不合理な目標設定」「経営陣に盲従し、付度する歪な企業風土」「現場の声を拾い上げようとする意識の欠如」などが挙げられている。

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しかし、ビッグモーターに限った話ではないことだろう。「熱血魂 足と熱意で信用拡張企業」が、この10年あまりこぞってハマっている「定番の失敗パターン」

「熱血魂 足と熱意で信用拡張企業」とは第二次ベビーブームによる需要増が大きな要因で急成長して、全国展開を達成した大企業を指す。

分かりやすいところでは、1973年創業のセブン-イレブン・ジャパン、同年に創業したレオパレス、翌74年創業の大東建託などがこれにあたる。

76年創業のビッグモーターは人間で言えば、「熱血魂 足と熱意で信用拡張」世代(71~74年)ではないが、「熱血魂 足と熱意で信用拡張」を授かったファミリーが国内で爆発的に増えて、その恩恵を得た会社。

そんな「熱血魂 足と熱意で信用拡張企業」は、近年よく問題を起こしている。

業種やビジネスモデルは違えど、共通の「負けパターン」がある。  

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人口急増の波にのって全国展開を達成し、巨大企業に成長するが、人口減少時代に転じてもなかなか過去のビジネスモデルから脱却できず、「拡大路線」に固執してしまう。

そのため、現場が帳尻合わせ的に不正に手を染めてしまったり、過重労働が強いられてしまったりという問題が発生する。  

セブン-イレブンの場合、人口増時代の成長エンジンだった、同一地域内に店舗を集中出店させる「ドミナント戦略」に固執してしまった結果、競合だけではなくセブン同士のカニバリを招き、バイト不足や現場の過重労働を引き起こし、時短営業をのぞむオーナーがFC相手に訴訟を起こすなど、いわゆる「24時間営業問題」が起きた。

レオパレス21の場合、人口減少で空き家問題も深刻な中で、新築アパートを大量に建て続けて売り上げをつくる、という人口増時代の戦略を継続してしまった。

結果として、サブリース(家賃保証)というシステムが破たん。

一方的に家賃を減額したレオパレスに対して、オーナーが集団訴訟を起こすなど対立が激化しているほか、コスト削減のためアパートの違法建築問題を引き起こした。

大東建託も厳しいノルマがあると指摘され、たびたび以下のような不正疑惑が報じられている。

「大東建託」が高齢者相手に“詐欺まがい”の不当営業

この時代に生まれた組織特有の「人口増時代の拡大路線がやめられない」という問題もかなり関係していると考える。

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このようなシビアな現実を受けいれることができないのが、「熱血魂 足と熱意で信用拡張企業」の特徴。

拡大路線で店舗を増やして、広告をバンバン打てば、客もどんどん増えていく、という昭和の成功体験が強烈に刷り込まれているので、それを捨て去ることができない。

すると、どうなるのかというと、現場に過大なノルマを強いる。

自画自賛的な「広告」を大量に投入する物量作戦になる。  

ビッグモーターでは有名俳優を起用したテレビCMが山ほど流れていることが象徴的だが、Webサイトを見ても以下のように、『ついに沖縄にも初出店! 日本全国に出店拡大中! 6年連続買取台数日本一!』  『中古車買取価格満足度No.1 中古車販売顧客満足度No.1』  

太平洋戦争で戦局が悪くなればなるほど、日本軍は戦果を偽り、「世界一勇ましい日本軍の攻勢で、米国はもう降参寸前だ」と大騒ぎしていたことからも分かるように、日本型組織は苦境に立たされるほど、負けを認めようとしない傾向がある。  

そして、現場には理不尽な目標を押し付ける。「お国のために玉砕して、敵を1人でも多く道連れにせよ」という命令は見方を変えれば、「現場に過大なノルマを強いている」ことと同じ。  

「熱血魂 足と熱意で信用拡張企業」が拡大路線を突き進んで現場に不正を強いているのは、かつて日本軍が負け戦でも撤退できず、現場に「玉砕」を強いた問題の延長線上にあり、日本型組織の典型的な「病」のひとつといえるでしょう。

実は今日の成功は、経営陣は何やら自分たちの「営業努力」によってなし得たと過信してしまう。

だから、苦しいときこそ原点に立ち戻ろうと、強気の拡大戦略にこだわる。

広告をバンバンうって、現場の戦意を高揚させて、高い目標を設定してお尻を叩くなどの「努力」をすれば報われると勘違いしてしまう。  

しかし、残念ながらこの努力は報われない。

2000年代に入ると、少子化が深刻化してあらゆる市場がシュリンクしている。「熱血魂 足と熱意で信用拡張企業」の多くは自分たちが気づかぬうちに、いつの間にやら人口減少・低成長という「下り坂」を進んでいる。

だから、上り坂を進んでいたときと同じ事業戦略を続けてもうまくいかない。むしろ、残念な結末になる。

人口が減少して、これまでのビジネスモデルが崩壊していくと、組織が誤魔化すために不正に走る。そこに転びやすいのが、「熱血魂 足と熱意で信用拡張企業」。  

「人口が増えていく」という右肩上がりの幸せな成功体験を引きずっているので、厳しい現実を受け入れることなく、いつまでも昔のやり方を続けてしまう。  

人口減少が急速に進む「縮む社会」で経済を維持するには、「数」が減っていく代わりに、一つ当たりが生み出す「価値」を上げていくこと。

生産性向上と賃上げ。  

しかし、残念ながら日本社会はいまだに「安いものを大量に売る」という昭和の拡大路線から脱却できていない。

ということは、現場に過大なノルマが強いられ続ける。

どんなに血反吐を吐いても結果が出ないので、現場は不正をするしかない。

民間だけではなく、役所や国家まで不正が「平常運転」となる。

そう遠くない未来で誰もが知るような名門企業で、とんでもない不正が明らかになるかもしれない。

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投稿者 buzz news

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